森中定治さん 蝶でドクター取得!



国内アマチュア2人目の快挙!!



 2003年秋、当談話会の仲間、森中定冶さんが農学博士の学位を授与されました。

 森中さんは、私たちの多くと同じ昆虫少年だったそうです。成人してからも大学では 農学部に学び、その後某製薬会社にサラリーマンとして今も勤める傍ら、蝶の採集・研 究を続けてきました。

 昨今、蝶の分類にもミトコンドリアDNA塩基配列による解析が時代の趨勢になりつ つありますが、それに果敢に取り組み、アゲハチョウ科の系統分類に大きな成果を挙げ ました。さらに、平行して進めていたカザリシロチョウ属の系統分類の研究がこの度の 学位論文となりました。

 当談話会をはじめ、世のムシ屋で博士号をもつ人は数多います。本業が昆虫学者であ るムシ屋の理学博士・農学博士から、医学博士、工学博士、理学博士などなどです。し かし、それらの博士たちは、いずれも"本業"で学位を取得しているのに対し、森中博士 の場合は、アマチュアとして本業とはまったく無関係の分野で取得されたことに大きな 意義があります。我が国の蝶の世界では、五十嵐邁博士に続く2番目という快挙です。 まさに趣味人の鑑、当会の誇りと言って良いでしょう。

 2004年2月29日に、これを祝い都内で祝賀会が開かれ、当会会員をはじめ多く の方々が集まりました。祝宴は、当会の長老である桜田さんの乾杯に始まり、来賓の日 高敏隆先生のご挨拶や数々の祝辞・スピーチが続きおおいに盛り上がりました。飛び入 りスピーチで、当談話会広告塔の「 昆虫王 」が登場しましたが、昆虫王もDr.森中と同じく製薬会社勤務ですが、そこはライバル会 社です。昆虫王が不在のある時に、Dr.森中が昆虫王の会社に掛けた蝶の私用電話で「○ ○製薬の森中ですが、例のもの受け取りました。」という伝言を取り次いだ人に怪しま れたというエピソードを披露して会場の爆笑を誘いました。

 そんなDr.森中です。今後もムシ屋として、また日本生物地理学会会長として、ますま す学術的な活躍をして本人と当談話会の名声を高めていくことでしょう。

 なお、ここまで極めることができたのも奥様のご理解と精神的支援があってこそと拝 察します。